ニジイロに輝くニジイロクワガタですが、稀に単色の個体が生まれます。
色は、緑のみ、黒のみ、赤のみの三種類が知られています。
ニジイロクワガタのグリーン個体は、単色系ニジイロクワガタの一種です。
グリーン個体のようなニジイロクワガタの単色系は、通常の個体と異なり色の固定や繁殖も難しいので、めったに見ることはできません。
そういった単色系の個体は、高値で取引されています。
商業ベースでは、ニジイロクワガタの飼育に於いて、前述の「大型化」と並んで「色の固定化」という課題があります。
グリーン個体を含む単色系ニジイロクワガタの産出は、血統によるものと考えられていますが、決定的な要素は解っていません。
単色系の個体に於いて、色は世代を経ると変化するというのが通説です。
グリーン個体の場合、次の世代は黒色の個体になり、その次の世代は赤になるといわれています。
グリーン個体の飼育方法(単色系ニジイロクワガタの飼育方法)
通常の個体の場合とあまり変わりませんが、冬場の温度管理を特に注意してください。
成虫
◇通常個体の成虫の飼育方法
ふた付きの飼育用プラスチック容器(クリーンケース)を使用します。
直射日光を避けて、湿度・温度の管理をします(18~28℃)。
適切に湿らせた「おがくず」や「ほだマット・市販」を敷き詰めます。
「おがくず」や「ほだマット」が乾燥したら霧吹きで湿らせてください。
樹皮や木片を入れます(ひっくりかえった時につかまる用に)。
えさは、市販の昆虫用ゼリー、または、バナナやりんごなどの果物を与えてください。
減り具合をみて、えさ切れしないようにします。
一般的に、一つのケースに2頭以上入れて飼育するとケンカするので、交配させる時以外、できるだけ一頭で飼うようにしてください。
しかし、飼育者によっては、グリーン個体を含む単色系の飼育に於いて、オス・メスの同居を提唱している場合あります。
◇グリーン個体の成虫の飼育で特に留意する点
冬季は特に温度管理に気を付けてください。
飼育容器内は15℃以上に保つ必要があります。
10℃以下では危険です。
夏季は、30℃を超える場合、飼育ケース内を乾燥気味にして通気をよくしてください。
幼虫
◇通常個体の幼虫期の飼育方法
2令の幼虫を約5ヶ月間飼育すると蛹化し羽化します。(2令は卵から約2ヶ月後)
きのこの菌糸マット(市販のクワガタ幼虫用の飼育マット)などを約800ccの「ブロー容器」に入れて飼育します。
管理温度は23~25℃です。
夏場の高温と冬場の低温には注意してください。
◇グリーン個体の幼虫の飼育で特に留意する点
菌糸びんの容器を使用してください。
発酵マットで飼育します。
15~32℃の温度管理してください。
孵化から羽化まで半年~一年前後です。
蛹
◇通常個体の蛹の飼育方法
蛹化前には、「幼虫の暴れ」と呼ばれる活発に活動する状態が見られますが、これは蛹や成虫になるためには必要な行動です。
3令終期になり黄色身を帯びてくると、「幼虫の暴れ」が頻繁に見られるようになりますが、10日ぐらいで蛹室を作りはじめますので、そのまま見守ってください。
蛹になってから適温(23~25℃)で管理できれば、蛹になってから4~8週間で羽化します。
どうしても「幼虫の暴れ」がおさまらない時は、飼育容器内の温度を管理温度から3~5℃低くしてください。
活動が鈍くなります。
羽化後、成熟すれば自力で出てきます。
無理に掘り出す必要はありません。
自力で出てきたほうが身体的に丈夫です。
それでも、掘り出す必要のある場合は、羽化確認後、体が色づいて全体が堅くなっていることが掘り出しの一つの目安です(羽化後約2週間)。
◇グリーン個体の蛹の飼育で留意する点
蛹の期間の飼育管理は、通常個体とほぼ同じです。
羽化して成熟すれば自力で出てきますが、取り出す必要のある場合は、羽化後2週間以上経ってから取り出します。
羽化後しばらくはエサを食べません。
まとめ
ニジイロクワガタの中で単色系のグリーン個体は、人気も高く高価な値段で取引されるので、商業ベースの飼育が盛んです。
ニジイロクワガタは、昆虫の中では寿命が長いといわれますが、一年から一年半しか生きないことを考えると、愛好者の熱意がこの種の飼育を盛んにさせているのだなあと感心します。
単色系の個体は、色を固定させることができません。
グリーンの個体の次の世代は黒の個体になり、次の世代は赤の個体になるといわれています。
それでも、ニジイロクワガタの種の中で特に美しいといわれるグリーン個体は、愛好者のあこがれの的なのです。