ニジイロクワガタの寿命は一年から一年半です。
冬眠はしません。
冬眠しない昆虫が冬を越す状態を「越冬」といいます。
ニジイロクワガタは、寒さに強い種といわれますが、原産地が赤道に近い地域なので(オーストラリア北東部・ニューギニア南部)、温度が下がると活動が鈍くなるようです。
「蛹の暴れ」と呼ばれる羽化前の特徴的な過活動の状態でも、飼育容器内の気温を少し下げると(管理温度から3~5℃低く)穏やかになるといわれます。
冬場、飼育容器内を18℃ぐらいに保てば通常に活動するといわれますが、個体差があるようです。
越冬の飼育
「冬眠」は、代謝活動を著しく低下させた状態で冬季を過ごすことです。
一方、「越冬」では、生理機能は夏季と代わらない状態を保っています。
ニジイロクワガタは越冬するので、飼育容器内を18℃以上に保つことができれば通常に活動します。
しかし、常温で飼育している場合、一定の寒さを感じると、ニジイロクワガタは「越冬状態」に入ります。
「越冬」する期間は、飼育マットの中に埋もれるようにして過ごすことが多いようです。
一見すると「冬眠」のようですが、「越冬のはじめ」や「越冬の終わりごろ」また、冬の小春日和の温度が比較的高い日は、マットから出てきてエサを食べます。
エサ(昆虫用ゼリーなど)は必ず用意していつでも食べられるようにしておいてください。
ニジイロクワガタの「越冬」時の飼育方法はクワガタの場合に準じるので、下記には「クワガタの冬季の飼育方法」を記します。
飼育方法(くわがたの場合)
秋ごろ準備を始めます。
夏場使用した飼育用マットを交換して冬季に備えます。
ふたができるプラスチックケース(クリーンケース)を使用します。
夏場、飼育容器のふたは「はえ」の侵入を防ぐために使用しましたが、冬季の場合は、保湿を確保するためです。
冬場の乾燥に備えます。
飼育マット(ほだマットなど)は、適切に湿らせ、ケース内に敷き詰めます。
クワガタがひっくり返った時に起き上がるための木片を入れます。
隠れる場所としてまた保湿のために、クヌギなどの広葉樹の枯葉数枚を入れておきます。
クワガタが木片や広葉の下に隠れたら、飼育マットをクワガタの上に空気を含むようにかけてやります。
飼育容器内は、15℃で管理します。
越冬中は、エサはほとんど食べません。
しかし、秋の「越冬の始まり」や、春暖かくなった「越冬の終わり」、また冬の気温の高い日などでは、活動が再開するようになりエサを食べます。
そのような時のために、エサは必ず入れておいてください。
エサは、週に一回換えましょう。
外気温が15℃を超えるようになると越冬は終了します。
その時は、体力を消耗しているので、活動はかなり鈍い状態です。
まとめ
小さい体の昆虫にとって、冬は過酷な環境です。
体のエネルギーを消耗する冬に、擬似仮死状態である「冬眠」することは合理的であるといえるでしょう。
しかし、ニジイロクワガタは「越冬」します。
本当に驚きです。
赤道近くの生息地は、おそらく一年を通じて高温の環境であると考えられます。
そこに生息する種が、「冬」を越えて生きるとは。
適応能力もさることながら生命力も強い種なのでしょう。
とても興味深い昆虫ですね。