ニジイロクワガタの性別の違いというとオスには立派なツノがあるから簡単だと思われるかもしれませんが、実際にはツノの生えてこないオスというのもいます。
そのようなオスは体格的にもメスとそんなに違いがないので、個人的にブリードを行っているブリーダーにとってはどうすればいいのか悩むところです。
しかし外見的に通常のオスと違っていたとしてもブリードを行って繁殖させることはできるので、どうにかして性別の判断をしたいと考えるでしょう。
今回はニジイロクワガタの性別の判断ができずにブリードが行えないというブリーダーのために、どうすれば性別の判断ができるのかその方法について紹介しましょう。
どうしてオスなのにツノが生えてこないのか
動物が将来的な外見を作る要素となっているのは、遺伝情報と成長するときの生育環境です。
遺伝情報とは父親と母親の遺伝子を受け継いだ子供ならどんな動物でも備わっているもので、いわば将来への設計図みたいなものです。
しかしこの遺伝情報というのは常に正しい画一的なものが受け継がれるわけではなく、時には他の個体とは違った情報となっている場合があります。
そのためにツノに関する情報が欠如していれば、ツノは当然ですが生えて来ません。
生育環境とは卵から羽化して幼虫になり、そこから成虫になる期間で幼虫がどんな生育を行ってきたのかということです。
幼虫の頃に栄養を十分に摂取できなければ未熟な状態のまま成虫になってしまい、そのためにツノが生えてこないこともあります。
またニジイロクワガタは幼虫の頃に暴れ回る習性を持っているので、その時に外的損傷を負ったためにツノが生えてこなくなるというのも考えられます。
幼虫での性別の判断方法
ニジイロクワガタは、卵から羽化した幼虫の段階でも性別が分かります。
幼虫はどれも同じでできるはずがないと考えるでしょうが、実際はちゃんとした違いがあるのです。
ニジイロクワガタは卵から羽化する時、最初にメスが一斉に羽化を始めます。
それから少しおいてからオスが羽化していくので、この羽化のタイミングから性別を判断することが可能です。
羽化するタイミングを見られなかったという場合でも、まだ大丈夫です。
幼虫の頃にはオスとメスで明確な体重の差というものがあります。
10グラム未満であれば多くがメスで、12グラムを超えていればオスだと言ってもほぼ間違いないと思います。
しかし動物には個体差があるので、その括りに入らない場合もありますし、10グラム以上12グラム未満というグレーゾーンに該当する幼虫もいるでしょう。
幼虫で区別できなかったら、他に方法はあるのでしょうか。
成虫になってから性別を判断する方法
オスが成虫になってもツノが生えていない場合に多いのは、体格そのものが小さくて成熟度が高くなっていないという状態であるということです。
小型で大きなツノの無いオスはメスと見間違うほどに似ていて、そこから判断するのは至難の業ですが、実は別の方法で区別できるのです。
ニジイロクワガタはメスしか持っていない外見的な特徴があります。
オスがしなくてメスだけが行う産卵に関係した外見的特徴です。
メスは産卵するときに樹木の幹の中に卵を植え付けることをします。
しないケースもありますが、遺伝的にその外見的特徴はメスならば持っています。
ニジイロクワガタの幼虫は木の幹の中で、樹木の内部部分を餌として食べています。
それに木の幹の中なら外的から狙われる確率も低くなるので、とてもいいやり方だとも言えます。
メスはこの産卵方法のために木の固い樹皮を食い破らなければいけないので、オスに比べて大きなキバを持っています。
このキバがツノのように見えるかもしれませんが、このキバはツノと違って噛み合わせたときに交差するようになっています。
キバの先端が同じ位置でそれ以上進めないと、樹皮を噛みちぎれないからです。
オスは産卵をしないのでメスのような立派なキバを持っていないため、餌を食べる様子を観察していて、キバが交差するようならそれは間違いなくメスです。
まとめ
外見が通常のオスとは違っていたとしても、オスとしての機能は備わっているので繁殖は行えます。
日本では外国からニジイロクワガタが入って来ることは現段階では無いので、個体差を増やすには日本に現在いるニジイロクワガタによるブリードが重要になってきます。
外見的に不満があったとしても、それだけで全てを判断してしまうのではなく、将来のためにも生まれてきてくれた生命を大切にしてあげて下さい。