クワガタムシは朽ち木のなかで卵から孵り、幼虫時代を経てサナギから成虫へと成長していきます。
今回はこのなかでも成虫へと変わる作業、羽化に注目して調べてみました。
クワガタのサナギ
クワガタの幼虫は、土や朽ち木の中に蛹室とよばれる部屋を自分でつくって、サナギになる準備をします。
蛹室のなかで蛹化した幼虫は体を上にして静かに横たわります。
サナギのころには足やあごがありますが、まだまだ成虫の姿ではありません。
最初は真っ白でゴムのおもちゃのような姿をしていて、時間の経過とともに茶色に色づいていきます。
サナギの期間は約3週間です。
ひっくり返って羽化をする
いよいよ羽化が始まると、まず、クワガタは仰向けの状態からひっくり返ってうつぶせになります。
その後背中に亀裂が入り、腹を伸ばしたり縮ませたりしながら、徐々に皮を脱いでいきます。
最初は前胸部から上羽部にかけて脱ぎます。
羽化にかかる時間は約20分。
出てきたばかりの羽はまだ白っぽい色をしています。
空気に触れると、少しずつ固まって黒くなっていきます。
下向きだった頭もだんだん上を向いてきます。
羽化をしてもまだまだ体が弱いため、1ヵ月ほどは外に出ることができません。
蛹化と羽化が速い種
通常、初夏に羽化したものは晩夏に野外に出ていき、晩夏に羽化したものは翌年の夏に外に出ていきます。
実際、翌年の夏に出てくるものが多数を占めています。
ただ、これはクワガタの種類や生育環境によってまちまちです。
たとえばオニクワガタやマルバネクワガタは、羽化した年に野外に出て活動します。
特にオニクワガタはサナギの期間が1週間ほどしかなく、羽化後10日ほどでもう外に出て行くことができます。
羽化したあとは成長しない
体の大きさは、幼虫時代の栄養量に左右されます。
成虫になった後は大きくなることはありません。
このため、同じ種類のクワガタでも体の大きさが違ったり、大あごの大きさが違ったりするものがみられます。
まとめ
白くて頼りなさそうにみえるサナギが立派に羽化を終え、黒光りするクワガタに変化する様は正に別人になったようで目を見張るものがあります。
機会があれば、一度観察してみるのも面白いと思います。