クワガタといっても日本の国だけでも何種類か生息しています。
その中でもヒラタクワガタに限っては、どんな風に育てるのでしょうか。
幼虫からの飼育法について調べてみました。
飼育のために準備するもの
幼虫をそのまま、ビンやケースに入れているだけでは育ってくれません。
幼虫たちが育ってきた自然界をまねて、それに近い環境を作ってやることが先決です。
複数の幼虫を大きなケースに入れて飼育する方法はあまり見かけませんでした。
というのも、クワガタの幼虫は仲が悪く、幼虫同士がケンカをしてお互いに傷つけからです。
羽化した数を数えてみたら何匹か少なかった、ということが起こってくるからだそうです。
ですから、一匹ずつを飼うのがクワガタの飼育法になります。
まず、菌糸ビンと呼ばれる大きなジャムのビンのような容器が必要です。
その中に、マットやキノコの菌糸で分解されたオガクズを入れます。
販売されている菌糸ビンはすでに菌床が入っているので手軽です。
信頼できる店で選びましょう。
マットと菌床の違いについて簡単にせつめいします。
オガクズを分解するのに、ミミズや微生物で分解されたものがマットです。
土に近いようになった細かいマットは産卵用に使用されます。
その前の荒いオガクズや木片の形が残ったマットは幼虫の飼育に使用されます。
菌床はキノコの菌糸で分解されたもので、木の成分の一つの「リグニン」を分解させています。
それがヒラタクワガタの餌と棲家になります。
なぜ菌床の方がマットより適しているかというと、幼虫がより食べやすい状態まで菌糸が分解するためです。
マットでも飼育できますが、菌床の方が栄養価が高く、早く羽化し大きく育つそうです。
マットは絶対ダメということでもありません。
マットで飼育して大きなクワガタを育てている方もおられます。
初心者には、栄養価の高いキノコマットの方が大きく育つ可能性が高いので勧められることが多いです。
どんなクワガタでも菌糸ビンか、というとそうではないクワガタもいるので、よく確認しましょう。
ヒラタクワガタは菌糸ビンで育てられます。
菌糸ビンですが、キノコが生えてきたらどうするの?
菌糸ビンを使っていると、当然ですがキノコの菌糸が入っていますからキノコが生えてくることがあります。
その時は取り除きましょう。
そのままにしておくと、キノコに栄養を持って行かれてしまうからです。
空気穴がふさがれてしまって、幼虫が酸欠になります。
それ以上にだんだんと大きくなる幼虫の生活スペースが狭くなり、成虫になった時に奇形になる恐れがあります。
キノコを除くときはスプーンや長い柄のついたヘラなどを使います。
幼虫をビンの中に残したまま、傷つけないように取り除きます。
中にキノコが発生した時は幼虫のそばまで掘っていかなくてはいけないので、より気を付けましょう。
菌床を取り換えることは?
菌床を食べて大きくなるヒラタクワガタですが、菌床が残り少なくなったり、ビンでは手狭になったりします。
そこで菌床を取り換えるのですが、どんなタイミングで取り換えればよいのでしょうか。
菌糸ビンを見ると、黒くなったり茶色くなったりしている部分があります。
これは中で幼虫が動くと白い菌糸が混ざって茶色くなり、フンをすると黒くなります。
黒くなったところは食べ物がなくなっていることですから、この部分が多くなると取り替え時です。
ところが、ビンの縁の外から見られるところで動いたり食べたりしてくれるといいのですが、全くビンに触れないで中だけで餌を食べていることもあります。
それを『居食い』というそうです。
こんな時はビンは白いままですから、蓋を開けて確認することが必要です。
ビンは大きさによって交換の時に替えていく
この時は幼虫を外に出さなくてはいけません。
いったん外に出して、新しい菌糸ビンに入れるのですが、慣れた方はここで幼虫の重さや大きさを計ったりしています。
新しい菌床だと幼虫が拒食する事があるので、今まで食べていた菌床のクズやフンを少しだけ入れてやるといいでしょう。
バクテリアが菌床の発酵の助けをしていますが、クワガタにとってはバクテリアも餌になります。
食べなれていたバクテリアがあると、新しい菌床にも早く慣れてくれるでしょう。
幼虫が菌床にもぐっていきやすいように、幼虫の大きさに合わせた穴を掘ってやるといいでしょう。
メスのクワガタはそれほど大きくはならないようですので、同じ大きさのビンでいいでしょう。
オスは育て方によれば大きくなります。
一回り大きなビンに交換しても良いかも知れません。
交換の時に幼虫の様子をよく観察しましょう。
温度管理について
温度管理をするのは菌床を安定させるのと、キノコを発生しにくくするためです。
温度の変化があるとキノコが発生しやすいからです。
キノコの季節は秋ですが、これも温度の変化の激しい季節なので発生します。
完全な温度管理をしなくても自然のまま、飼育することもできます。
キノコが発生しやすいので、取り除くなどの注意が必要です。
ただし、30℃を超えると菌床が痛むので30℃を超えないように注意しましょう。
0℃くらいなら大丈夫ですが、冬眠に入ります。
当然ですが、冬眠すると活動しないで餌も食べないので大きくはなりません。
自然界のクワガタと同じような大きさになります。
最適温度は25℃前後です。
まとめ
動物であっても、昆虫であっても、生まれたばかりのものを育てることは大変なことなのだな、と思いました。
菌床や菌糸ビンを選ぶことから始まり、日々の温度管理や菌床の観察、幼虫の様子を見ることなどなど。
足のたくさんある生き物は大の苦手なのですが、調べるうちにかわいいもんだなと思われてきたのはどういう訳でしょうか。
こうすればいいのかと嬉しくなったり、これはいけないことだったのかと落ち込んだり、心配と喜びのタネは尽きませんね。
慣れれば慣れたで、より大きなクワガタを育ててみたくなったりと、ヒラタクワガタは40代、50代に人気のあるクワガタと言う触れ込みに納得した次第です。
小さい頃からの昆虫好きな人には幼虫飼育は楽しみの一つでしょうか。