ニジイロクワガタの生息地であるオーストトリア北東部のケアンズでは、年間最低気温は16℃を下回りません。
ですから、孵化や羽化は決まった時期に起こっているのではなく一年中発生していると考えられます。
ですから、本来のニジイロクワガタの生態では、日本固有の昆虫のように、秋に産卵し、冬を越えて孵化して幼虫になり、夏前に羽化して盛夏をすごすといったサイクルが固定化していないと思われます。
しかし、日本の冬の飼育に於いて、一定の寒さになると、ニジイロクワガタの幼虫は動きが悪くなり食事をしなくなります。
そして、成長は止まります。
この状態を「幼虫の越冬」といいます。
そのため蛹化する個体が少なくなるので、冬場の羽化は非常に少ないといわれます。
羽化の時期
幼虫の期間は、個体差やオス・メスの差もありますが、早くて4ヶ月遅くとも8ヶ月で羽化します。
通常、孵化して7~8ヶ月で羽化するといわれます。
幼虫が蛹になったら、飼育容器をゆすったり逆さまにしないでください。
蛹の期間の飼育管理は、幼虫の飼育方法とほぼ同じです。
メスの場合、「半年一化」と呼ばれる状態になることがあります。
この場合、初令から3ヶ月で蛹化します。
蛹になって4~8週間で羽化します。
羽化後、成熟すれば、掘り出さなくても蛹室を破り飼育マットや菌糸マットから自力で出てきます。
自然に出てきた個体は丈夫です。
しかし、掘り出す場合は、羽化後3~4週間後を目安にして掘り出してください。
後食(こうしょく)
羽化直後の成虫は、羽や体が固くなった後でも、エサをすぐには食べません。
一定期間を経て食べ始めることを「後食」といいます。
また、後食を開始したことを「後食開始」といいます。
まとめ
ニジイロクワガタは、生息地の環境によって孵化や羽化の時期は定期化していなかったと考えられます。
しかし、適応力があり、日本に来て世代を経ることによって生態を変化させました。
幼虫は、一定の寒さを感じると成長を止めてエネルギー消費の少ない体制を採るのです。
これは、驚くべきことです。
昆虫が環境によって自身の生態を変えた、明らかな例ではないでしょうか。
ニジイロクワガタの様に適応力のある昆虫は少ないのではないかと思います。