ニジイロクワガタをブリードする場合、木かマットを使用する方法が一般的です。
しかし自然界ではマットというのは存在していないので、ニジイロクワガタの産卵方法は木を利用すると言えます。
ニジイロクワガタは木を産卵場所として使っているのため、メスは外形的にもその特徴を持っています。
どうしてニジイロクワガタは産卵場所として木を利用しているのか、その理由について紹介しましょう。
産卵場所として木を利用するメリット
ニジイロクワガタに限らず、多くの種類のクワガタが産卵場所として木を利用しています。
それには二つ理由が考えられます。
一つ目は木の幹の内部の部分そのものが幼虫の餌となるからです。
木の切り株を見た時、その切り株から幾つもの何かが内部を通ったような穴があるのを見た人は少なくないでしょう。
それこそ幼虫が木の内部を食べていた証拠なのです。
二つ目は木の内部に住み続けていれば、外敵から狙われる危険性は大きく低下するからです。
幼虫を捕食する天敵は多いのですが、木の中から取り出すことができないために幼虫の身が守られているのです。
キツツキはこの木の内部にいる幼虫を捕食するために木をつつくのですが、このような行動をする動物は少ないので、幼虫の危険性はとても低くなっているのです。
木の幹に産卵するためにメスだけが持つ特徴
木の樹皮は昆虫が穴を簡単に開けられるような柔らかいものではありません。
ニジイロクワガタのメスは木の表皮ではなく内部に卵を産み付けるために、この硬い樹皮に穴を開けなければいけないのです。
動物が木の樹皮に穴を開けるために使うのはキバや歯です。
キバや歯を使って噛みちぎって穴を開けるため、この行動を取る動物のキバや歯は大抵が大きくなっています。
ニジイロクワガタで木の幹に穴を開けるのはメスだけなので、メスはオスに比べても巨大なキバを持っています。
そのキバはオスのツノのように見えますが、噛むためにキバの先が交差するような構造になっているので、それがツノでないことは直ぐに分かります。
オスのツノはものを掴むためにあるので、動かしたとしても先が交差するような構造にはなっていません。
ニジイロクワガタの産卵に木は絶対に必要なのか
自然界では木の幹の中に卵を産み付けるのが圧倒的ですが、人間の手によって繁殖されたニジイロクワガタは木だけでなく、マットを硬く敷き詰めても産卵を行います。
ニジイロクワガタが産卵場所として適していると判断するのは硬さであり、木と同じような硬さを持っていれば別に木に拘る必要がないのです。
実際に木とマットをケージに敷いて行う産卵方法がブリードとして行いますが、木を避けてマットで産卵するケースもあります
どこで産卵するかというのはメスが全てを握っているのです。
ニジイロクワガタは木を利用した産卵を行う場合でも、比較的柔らかい幹を選びます。
クワガタは種類によって硬い幹を使ったり柔らかい幹を使うのですが、ニジイロクワガタは柔らかい幹を使うのでマットでも産卵するのです。
まとめ
ニジイロクワガタの産卵は、個体差によって何に産卵するのか分かりません。
そのため繁殖して卵を産ませるのであれば、木とシートの両方を用意しておき、どちらでも対応できるようにしておかなければいけません。
木で産卵しなかったとしても、人間が繁殖に関与しているのであれば特に問題はありませんが、シートで産卵すると羽化するために人間の手を必要とします。
生命の誕生というのはそんなに簡単ではないのです。
手間を惜しまず行えばその努力に対する結果が得られるのですから、ブリードを行うのであればこの手間を面倒などと考えてはいけません。